2010年12月31日金曜日

出版社の新たな流通ビジネスモデル! 

書店やコンビニでやたらと豪華な付録付きの雑誌を見たこと多いと思います。
新聞やTVでもこの抱き合わせ商法が取りざたされていたりして、
「実際これはどういうビジネスモデルになっているのだろう?」
と思ったので、ちょっと色々と調べてみました。










▼雑誌不況の中で驚異のドル箱モデル
雑誌の付録がつき始めたこのブームの火付け役は2005年に発刊した、
宝島社「ブランドムック」シリーズ!
付録は有名ブランドのちょっとしたグッズがメイン。
Cath Kidstonのマルチバッグと鏡や、イヴ・サンローランのロゴ入りオリジナルトートバッグなどなど・・・。
雑誌は200号近くも発行して、部数は累計2000万部になるそうです。

さらに驚異的なのは「電子たばこヘルシー」という商品。
1冊2,500円とハードカバー並みの商品が210万部も売れたというから驚き!!
単純計算、2,500円 × 210万部 = 52億5千万円!

なぜ、メーカー側は安価な付録商品を提供するのか?
これはいくつか理由があります。

数十万部という発行部数で雑誌側が発注する為、商品を作るため生産コストを抑えられるし、
在庫の調整なども予測しやすいこと。

雑誌と一緒に商品を売ることで広告宣伝効果が見込めること。
ただ宣伝をするのではなく、エンドユーザーに確実に使ってもらえるという点がポイント。
広告と商品がほぼ一緒になっていることが、テレビやネット広告では決してできないリアルな
マーケティングにつながっている。

そして、新たな流通網を使って商品を販売できることです。



▼出版社の流通網はかなり凄い
これがこのモデルの本質的な成功要因なのではないかと思います。
日本の雑誌流通網は世界一と称されるほど整備されていて、
全国の書店の数が1万5千店、コンビニが4万件、
合わせて約5万5千店ものリアル店舗へ商品を流せる流通網があります。
これが最大のポイントです!
例えば、ドラックストアの全国の店舗数は約1万5千件程です。
コスメなどの化粧品を全国のドラックストアにおいて貰ったとしても、
出版社の全流通網の3分の一程度なんですねー。 Wao!


メーカー側としては、ドラックストアーなどのリアル店舗の限りある棚に、
いかに自社の商品を並べて貰うか、日々営業マンが絶え間ない努力を重ねています。
そんな営業マンが頑張っている中、雑誌の付録という立て付けで商品を流通させれば・・・
なんということでしょう
いつもの3倍のリアル店舗に商品を流すことができちゃう!
3倍ですよ3倍。こりゃもうシャア専用流通網ですね。


出版社は本を作って流通させるビジネスモデルの他に、
今まで培ってきた全国の書店・コンビニとのパイプを元に、他分野の商品を流通させるモデルを作った訳ですね。
これは色々な形態を変えて、あと2・3年くらいは続くのではないでしょうか。


でもやっぱり雑誌よりネットメディア
とはいえ、これで出版社が盛り返すかというと難しいのではないかと思います。
雑誌は、もともとターゲティングメディアと言われていて、読者層が絞られているからこそ広告を出す側はお金を出していたのです。
しかし、ネット上には各雑誌と同じ層のメディアはかなりありますし、効果測定もできます。
運営する側も配信コストがゼロに近い為、コストも雑誌を出版するより掛からない。


出版社は、自社ノウハウを活かしてネット企業としてしっかりと土台を作っていった方が
勝ち残っていけるのではないでしょうか。

そのうちサイバーエージェントやグルーポンなどのネット企業が出版社を買収・・・
なんて話も聞こえてきそうな予感。

電子書籍などを見ていても、雑誌 or 書籍 ⇒ Webの流ればかりで、
Web ⇒ 雑誌 or 書籍の流れがほとんどないように思います。
これからの時代は間違いなく後者だと思うんだけどなぁ。


その辺りの話はまた今度。



かしこま