2011年3月4日金曜日

手塚治虫さんの未完の名作「ネオ・ファウスト」を君は知っているか!?

手塚治虫

この名前を聞いたことが無い人は殆どいないのではないだろうか。
それほど日本史に残る偉大な漫画家 手塚治虫先生。

手塚作品といえば「ブラックジャック」、「火の鳥」、「鉄腕アトム」等を思い浮かべる人が多いのではないか。
大人になってくると「ブッタ」や「アドルフに告ぐ」などの作品が好きな人も多いだろう。

そんな数多くの手塚作品の中で個人的NO1の作品がある。
その漫画の名は「ネオ・ファウスト」だ!

一部の漫画好きの人たちの間では伝説として語り継がれているこの漫画ですが、
一般的にはあまり知られていない作品です。

何故この漫画が凄いのかを語る前に、手塚さんの漫画人生に欠かせないファウストについて語らねばならないでしょう。
もともと手塚治虫さんは生粋のゲーテの「ファウスト」フリークで、生涯に「ファウスト」、「百物語(日本版ファウスト)」、「ネオ・ファウスト」と3つのファウスト漫画を描いています。
それほどファウスト・フリークだった手塚さんなのだけど、この3作品は手塚さんの漫画人生の中でもターニングポイント時期に描かれています。
「ファウスト」が描かれたのは1950年。手塚さんが漫画家としてまだまだ駆け出しの時期です。
「百物語」は1971年。手塚さんの作品の中でも中期に位置していて、漫画家としてレベルアップしたことが伺える作品になっています。
そして、「ネオ・ファウスト」は1988年より連載。
初代ファウストから実に40年近く経ってから描いている作品なのです(ちなみに手塚さんの漫画家デビューは1946年)。
まさに手塚さんの漫画家人生の集大成といえる作品がこの「ネオ・ファウスト」なのです。

手塚さんの40年以上の漫画人生の集大成の作品。
この言葉を聞いただけでちょっとドキドキしませんか?
ワクワクしませんか?
自分は書いてるだけでワクワクしてますw
手塚さんの作品を初期から中期、後期と読んでいくと、漫画家として、人間として成長していることが良く分かります。

そんな漫画家人生の集大成だから伝説となっているのか。
いえ、それだけで伝説になっている訳ではありません。
何故この漫画が伝説となっているかというと、最大の理由は未完であることです。
そう、この漫画は完結してないのです。

何故かって?

それは、執筆中に手塚さんが亡くなってしまったからです。

この漫画は全三部作で描かれています。
しかし、一部が完結したところで手塚さんは胃癌で倒れ緊急入院してしまいます。
話の展開としても一部の最後のほうは少しあせって描いている印象があり、体調の悪さが作品に表れています。
入院中は危篤状態にもなったと言われていますが、にも関わらず第一部の連載終了から1ヶ月ほどして第二部の連載をスタートしています。
この行動だけでも、手塚さんの漫画に賭けるその誇り高き意志が伝わるのではないでしょうか。
これには感激以外の言葉が見つかりません。
しかし、そこまでして臨んだ作品だったにも関わらず、第二部の執筆途中で帰らぬ人となってしまいました。
その為、単行本も第二部の本当に最初までしか掲載されておらず、その後のストーリーについては絵コンテが少しだけ掲載されているのみ。
手塚さんの頭の中には最後までストーリーが描かれていたようなのですが、真実は誰にも分からなくなってしまったのです。

そんな漫画の為か、この漫画の持つパワーは本当に凄いです。
漫画自体にパワーがありすぎたことが自分にはあまりに衝撃的でした。

本当にパワーあるんです。
読んでいると伝わってくるんです、手塚さんが伝えたい思いが圧倒的パワーとして。
手塚治虫の人生の集大成が伝わってくるんです。
それがたとえ未完であったとしても。

作品としての面白さは人それぞれあるでしょう。

でも、こういった手塚治虫さんの人生(物語)を少しでも知った上で読んでみると、
また違った気付きがあると思います。
そうした漫画の読み方もありなのかなって思います。

ただ売れている漫画だからといった理由で読むのではなく、
その漫画家自身がどういった人生を歩んできたのか。
どういった思いをもってその漫画を描いていたのかを知ると、またちょっぴり漫画を読むのが楽しくなるのではないかと思います。

是非一読頂きたい漫画です。


かしこまり

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