2011年3月10日木曜日

アプリのジャンプSQとモーニング・ツーは何故こんなに差が出たのか

App Storeでは色々な漫画アプリが売られています。
昔の漫画のアプリ版からオリジナル漫画アプリまで色々。
ちょっとググッたら、漫画アプリ大賞(http://spoma.jp/first_website/manga_apps_gp/)なんていうコンテストもあるようです。

電子書籍だ何だと言われ、不況の出版業界の希望の星の様に一時は期待されていた電子書籍ですが、アプリでの電子書籍販売は現時点では結構大変みたいです。
それを裏付けたのが、モーニング編集部が明かした以下の事実!

「売れてなさすぎ! モーニング・ツーAndroid版のDL数たったの20部」http://rocketnews24.com/?p=76506

このツイートが話題になった後は、微増ではありますが
41号 18部 → 37部
42号 20部 → 127部
と売上部数が伸びたことをtwitter公式アカウントで発表しています。












しかし、つい先ほどジャンプSQ編集部公式twitterからこんな発表がありました。














なんと、3万ダウンロード!!
モーニングツーのアプリが127部(売れてないことを公開した後)に対して、ジャンプSQは数千倍近い販売をしている計算。

この圧倒的な違いは何なのかだろう?


自分は両方の雑誌アプリをダウンロードして読んでみました。

結論から言うとここまで二つの雑誌の販売数に差が付いたのは、
①両雑誌のApp Storeでの販売スタイルの違い

②モーニングツーは販売数を公表しているのに対して、ジャンプSQはダウンロード数で公表している。

この二つが両誌の数字に大きな差を生む原因なのではないかと思いました。


▼結局使いやすいかどうか。
モーニングツーは、漫画を読むまでが正直言ってかなり面倒くさいです。
まず、モーニングツーの専用アプリが在るわけではない為、「VoyagerBooks」という専門の電子書籍ビューアをダウンロードする必要が在ります。
これがかなり評価が悪い。実際使ってみても確かにいまいちな出来栄え。
さらにそのVoyagerBooksの中からモーニングツーを探し、いざダウンロードをしようかと思うと、待ってましたと言わんばかりに個人情報の入力画面。
やっと個人情報が入力し終わったかと思うと、続いてクレジットカードの入力画面。
これらの工程を経て、初めてダウンロードに移れます。
そして、ダウンロード後にやっと漫画を読むことが出来るのがモーニングツーなのです。

一方のジャンプSQは、専用アプリが存在しているため、アイコンをパッと見て分かりやすい。
アプリをダウンロードすると2010年に発売された過去のものを無料で読むことができる。
最新号が欲しい場合はそのまま購入できる形だ。
しかも、購入に関しては既に登録して在るAppleのパスワードを入力すればいいだけだ。
モーニングツーと比べて、この使いやすさはかなり大きい!

紙媒体で発行していたときは、ユーザビリティーを考える必要は無いに等しかったのだろう。
だって、紙をめくることに説明が必要な人は殆どいないだろうから。
しかし、いくらiPadやスマートフォンが直感的に触って操作の出来るデバイスだからといって、紙の究極のシンプルさに比べたらどう考えたって使いずらい。
それを理解した上で、ユーザビリティーを考えてアプリ販売をしているかどうかが、今回の圧倒的なダウンロード数の違いになったのではないか。


▼比べている数字が違う
ジャンプSQの発行部数は454,546部(2007年10月1日 - 2008年9月30日 日本雑誌協会調べ)。
それに対して、モーニング・ツーの発行部数は約5万部と言われているようです。
そもそもの雑誌の発行部数に10倍近く開きがある為、知名度の点で言ってもジャンプSQの方が上だったと見てよいのではないかと思います。

また、今回ジャンプSQが発表したのはダウンロード数であって発行部数ではありません。
これはどういうことかというと、ジャンプSQはアプリのダウンロード数を公表しているのであって、そこから有料で販売した部数を公表している訳ではないということです。
ダウンロードしたけど、有料版を買っていないという人は結構な数いると思われます。
フリーミアムを狙ったんでしょう。当たり前ですが。

一方のモーニング・ツーが発表したのは発行部数であって、VoyagerBooksのアプリダウンロード数ではないのです。(そもそもVoyagerBooksは別会社のアプリだし・・・)

しかし、仮にジャンプSQアプリをダウンロードした内の0.1割の人が有料で雑誌を購入していたと仮定しても300人は雑誌を買っていることになるので、発行部数で比較をしたとしてもジャンプSQの方がモーニング・ツーよりは上だと思われます。


色々書きましたが結局は「マーケティングの差」なんじゃないかと思いました。
ユーザーが使うことを考えて作っているのかどうか。
電子端末で漫画を読もうと考えている人は、みんな「手軽さ」を求めているんです。
それが本質だと思います。
でも、出版社がそこを理解せずに面倒くさい手順を踏まないと読めない仕組みで出してしまうと、「じゃあ紙で読めばいいじゃん。だったら捨てるの面倒だし買わない」とか、「違法でUPしてあるPDFファイルの方が手軽だな」って考えてしまうのがユーザーの心理だと思います。

逆にちゃんとマーケティングをして販売すれば、数字は伸びるはずです。
断っておきますが、僕はモーニング・ツーは好きです。
使いずらいけどVoyagerBooksを使ってこれからも購読するでしょう。
でも一般ユーザーはそうではないんです。
自分みたいな人は本当に少数なんです。

好きだからこそ、出版社に言いたい。
「紙とは本質が異なります。ユーザーのことを考えて、しっかりマーケティングしてください」と。


かしこまり

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